あそびが育む「生きる力」
今の子どもたちを見ていると、ゲームなど刺激的な遊びには興味を持つが、自分で創り出したり、仲間と協力することや折り合いをつけて人と関わることが苦手な子どもの姿が多くなってきていると感じています。
当園では、園の敷地に「ぼうけんの森」と名付けられた山のあそび場があります。四季折々の移ろいを感じたり、木登りやロープを使った遊具など冒険に満ちた遊びを通して、緊張感や達成感、さらには解放感を味わいながら遊んでいます。
木があれば蚊や蜂のように危害を加える生き物に出会ったり、漆のように触ってはいけない植物があったり、自然は時として恐れを与えることも確かです。自然環境豊かであるが故に、自然の恩恵と恐れを感じることもしばしばあります。
しかし、これも体験することで危険を回避する能力を身につけていきます。たとえば、ムカデなどがつがいでいることや触ってはいけない生き物であることなど知識もついてきます。このようなたくさんの生きた教育が受けられるのが当園の魅力だと言えます。人は自然と共に生きています。自然を愛し守り育てていく中で得る自然からの学びは、未来ある子どもたちにとって重要だと考えます。
人が成長する上で、自分で判断したり、選択できる力は大変重要になってきますが、周りの大人が選択の余地を与えない詰め込みの教育をしていると子どもは考えずに生活していきます。当園では、子ども達に自然の中で仲間と関わり、自分で発見し、自分のペースでゆっくり考える遊びを体験させたいと願って自然体験活動に取り組んでいます。
このような経験ができるのも、自然と人との共生を目指して活動している『遊育』というボランティアの方々や地域の皆様のおかげです。『遊育』の方々は、自分自身も楽しみながら次世代を生きる子ども達のために、環境整備など活動を支えてくださっています。 これら多くの方の知恵と自然に対する愛情がたくさん詰まった「ぼうけんの森」での活動の学びが、こどもたちの成長の礎となってくれるよう願っています。